お前に救われたなんて…〜暴走族と臆病な男の子のお話〜






女の人は、その人の連れという人といつもの街に帰っていった。






「・・よく助けたね、最初大丈夫かなって思ったんだけど」





そう言ってこっちを見た。





こっちを見たとき、目が少し開いた気がした。






・・怖いなぁ・・この人の目。





何も映していないみたい。





「・・そうだけど・・でも、行かないと死ぬかもしれない、って思って・・」





「へぇ、それで?ここに?凄い根性。」





ニッコリと笑ったその人。






笑顔・・ではない作り笑顔だ。






それを僕は気づかないふりをした。





「いや、僕いつも臆病で、女々しいから自分をこれで変えればなって思って・・」





「へぇ・・そう」






小さくそう言って前を向いたその人。








「もうここには来るなよ、また来たら今度はお前が死ぬよ」





そう言って角を曲がっていったその人。






僕が気づいたときにはもう、暗い街へと消えて行った。