お前に救われたなんて…〜暴走族と臆病な男の子のお話〜






「さあ」






「いきなり失踪って言われ―」






「やめよ」






わざと重ねて言った。






「その話。大翔がなんで灯竜から出て行ったかなんて分かるはずないじゃん。それにもう過ぎたこと、関係ない」






「バッサリ切るんだ。とても二人が想い合っていたなんて考えられ―」





「碧」







「なに」






無表情であたしを見透かすように見てくる碧。






あたし達の間に沈黙が流れる。








ガチャ








「あ、れ。お取り込み中だった…?」