クロ * Full picture of the plan * Ⅳ




だから、咄嗟に誤魔化そうと口が動いてた。



「…けど、俺にとっては大事な家族だ
神楽を悪く言うなよ!

あいつは両親に捨てられてもいないし、可哀想でもない!!


そんなくだらない噂信じるお前らの方が可哀想だっつーの!!!!」



神楽の本当の家族なんて俺は知らない。



何が普通で、何が異常かなんて俺にはわからなかったんだ。



本当の親がいない神楽が異常?



なら、親が居て、育児放棄された俺は普通なのか?



そう考えたらそれ以上何も言えなくて、俺は逃げるように教室を出た。



それからそのクラスメイトと話さなくなったのは、俺が避けたからなんだ。



今度は何を言われるかなんてわからない。



いつか、俺のことについてまで口を挟まれるんじゃないかって。



ただ怖くて、俺はそいつから逃げた。



そして俺は、人を疑い、怯え、ずっと偽りの言葉を貫いて人と接した。



そんなことを続け、俺が中1になった時。



唐突に、そんな日常に嫌気がさした。



俺を散々いじめてきた奴らも、表面上いい顔をする親にも。



偽り続ける自分自身にも。



それを考え出したら止まらなかった。