クロ * Full picture of the plan * Ⅳ




家に誰もいなくたって、親と話さないのだって、別にどうでもよかった。



俺はただ寝泊まり出来る家があるだけでよかった。



どうせ俺には、学校にさえ居場所なんてなかったんだから。



……簡単に言えば、俺はいじめられてた。



毎日毎日学校に行ったら、殴られ、蹴られ、私物は取られ、捨てられ、ボロボロにされる。



勿論学校側は全部黙認してた。



…それでも、俺はどうでもよかったんだ。



誰が俺を蹴ろうが、ボロボロにしようが、正直興味なかった。



今思えば冷めた子供だったと思う。



何事にもやる気は起きず、ただただ毎日時間を潰すために学校へ行っていた。



本当にそれだけだったのに。



…なのに、突然神楽が家にやってきた。



俺と同い年くらいの女の子が、服もボロボロなのに必死でこの子を助けてくれと。



「おねがいっ!神楽を助けてっ!!
必ずむかえに来るから!おねがいします!!」



涙の跡があるから散々泣いた後なんだろうな…とか、不思議と頭は冷静だった。



「なんで?俺なんかにたのまない方がいいと思うけど??…それにあんた、ほんとにむかえに来る気あんの?」



本当に冷めた奴だと自分でも思う。



自分と同い年くらいの女の子が必死で助けを求めてるのに、それを拒否るなんて。



「…僕は来ない。来るのは僕じゃない
神楽の、本当の兄貴だ。
絶対っ絶対5年以内に兄貴に会うから
それまで、藤井伊織。あなたが彼の兄になってあげて。」



半ば無理矢理気絶している神楽を渡され、宣言した彼女はさようならと一言いって去っていった。