神楽「…え、、?」



紫月「……伊織が…、?」



心底驚いたような声が次々と聞こえてくる。



ああ……



もう終わりだ。



…でも、何もしてない向日葵がこのままスパイにされるくらいなら。



…………俺は解雇されたほうがマシだ。



……、っ。



それでも怖くて、軽蔑の目を向けられるのが嫌で、俺は俯いて目をギュッと強く瞑る。



紫月「…いつから?」



いつも通りの声が聞こえ、俺は思わず顔を上げた。



伊織「…え、?」



紫月「いつからスパイをやってたんだ?」



いつもの敬語が外れ、じーっと俺の目だけを見つめる紫月に、俺はビクリと震える。



紫月「伊織。」



伊織「…青星に、入った時、から……。」



逃がさない。と言われてる気がして、気がついたらするりと言葉が出ていた。



伊織「ごめんなさい、ッ…!
解雇でも何でもいい、それだけのことをしたのはわかってる…!!

でもっ、向日葵は関係ないんだ!
あいつは俺を助けてくれただけで、っ!!」



俺をボスから解放してくれたのは向日葵だ。



それなのに、あいつが俺の責任を負うことまでする必要はない。



助けてくれた向日葵が、スパイだからといって批判されるのが嫌だった。



俺なのに、関係のない向日葵が…