今までに一度も無かった。



こんなに長い期間、向日葵の声を聞かなかったのは。



一緒に住んでいるから毎日の様に顔を合わせていたし、電話だってしたから、声を聞かなかったのは今まで精々2、3日程度だろう。



…それなのに、今回はもう数ヶ月もの間、一度も声を聞いていなかった。



本当に久しぶりに聞いた向日葵の声に安心感を抱き、無意識に声が震えた。



『……そうだね。』



心なしか、今までより柔らかく、優しい声に聞こえた。



琥珀「…それより、どうした…?
なんかあったのか??」



そんなことを疑問に思いながらも、今まで一切連絡のつかなかった向日葵から、電話があったことのほうが気になった。



『………今日、夜空いてる?』



琥珀「え?……夜??」



こんなことは初めてだった。



いつもだったら、数日前に空けておけ。と言ってくるのに。



命令形じゃないのも、当日なのも。



全部初めてだ。



そんな向日葵に戸惑いを感じながらも、しっかりと答えた。



琥珀「空いてる。」



『………1人で家に来て。』



…1人で?家?



色々と聞きたいことはあったが、ここで聞き返せば会えない気がしたから、俺は敢えて聞き返すことはしなかった。