クロ * Full picture of the plan * Ⅳ




『……僕も、明日は〇✕ホテルに"ひよ"と"ひな"と泊まる。』



ずっと無言で聞いていた少女が、ポツポツと話し出した。



『え、っ!?
〇✕ホテルって、俺の泊まる〇〇ホテルの隣じゃん!!』



ほんと!?と、驚きながらも嬉しそうな少年。



『…暇だったら、電話とか、してきていいよ。
すぐ、だし。遊びに行ける』



『!じゃあ、部屋番号とか分かったら教えるから!!絶対来いよ?』



『うん。』



『"ひな"たちにはまだ言うなよ?
後のサプライズな!』



落ち込んでいたさっきとは、打って変わって満面の笑みを向ける。



『…ひまっ!そろそろ帰ろ?
ひよたちが心配するぞ!!』



『……こーちゃんも、ね。』



『まーな!
でも、父さんたちは一度寝たら爆睡だからだいじょーぶだいじょーぶ!!』



だから、少しくらいは遅くなっても大丈夫。とベンチから立ち上がり、少女へ手を差し出した。



『…?』



少女はそれがよく分からず、コテっと首を傾げた。



『手!
送ってくから、ひまがナンパされないように!!』



『……ナンパなんか、されないよ』



そういいながらも、少女は小さく微笑み、少年の手を取って立ち上がった。



『話。聞いてくれてありがとな!』