『……僕も、明日は〇✕ホテルに"ひよ"と"ひな"と泊まる。』
ずっと無言で聞いていた少女が、ポツポツと話し出した。
『え、っ!?
〇✕ホテルって、俺の泊まる〇〇ホテルの隣じゃん!!』
ほんと!?と、驚きながらも嬉しそうな少年。
『…暇だったら、電話とか、してきていいよ。
すぐ、だし。遊びに行ける』
『!じゃあ、部屋番号とか分かったら教えるから!!絶対来いよ?』
『うん。』
『"ひな"たちにはまだ言うなよ?
後のサプライズな!』
落ち込んでいたさっきとは、打って変わって満面の笑みを向ける。
『…ひまっ!そろそろ帰ろ?
ひよたちが心配するぞ!!』
『……こーちゃんも、ね。』
『まーな!
でも、父さんたちは一度寝たら爆睡だからだいじょーぶだいじょーぶ!!』
だから、少しくらいは遅くなっても大丈夫。とベンチから立ち上がり、少女へ手を差し出した。
『…?』
少女はそれがよく分からず、コテっと首を傾げた。
『手!
送ってくから、ひまがナンパされないように!!』
『……ナンパなんか、されないよ』
そういいながらも、少女は小さく微笑み、少年の手を取って立ち上がった。
『話。聞いてくれてありがとな!』



