志「…なんで、ここにそれが…?」



ここに来たのが"誰"なのかはわからないが、それがここにあるってことは…



琥珀「完全に青星と縁を切りにきた、ってことだ」



ああ…"あいつ"を繋ぎ止めるものがまた減った。



こいつは…龍神葵絆だけは、'特別'だったのに。



彼方「あの、"これ"は何なんですか?
それにこのピアスの青い石って…」



その問いかけに、事情を知っている5人をチラリとみる。



5人は顔を見合わせ、代表に雷が口を開いた。



雷「月の形のは姫の証として昔百桃に渡したものだ。
ロックピアスの方は葵絆が……」



京「…昔、百桃が葵絆に欲しいっつって、同じもんをあげたんだよ。ほら、葵絆もつけてるだろ?」



京が眠っている葵絆の髪をかきあげ、同じロックピアスをみせる。



志「子供にピアスはどうなんだ、って言ったんだけど、百桃がそれがいいって…な。」



…百桃は周りと繋がることを考えていた。



だから、ピアスを身につけない子供だろうが、同じものがよかったんだ。



陽向「…直樹はなんで"百桃"のだ、って知ってたの?」



俺だって知らなかったのに。と不貞腐れた様子で直樹に向き直る。



直樹「…言ったろ。"あいつら"を知る誰よりも知っているって。

……嬉しそうだった。それを受け取った"百桃"は、幸せそうに笑ってた。」



目を伏せて懐かしむように直樹は言った。



星藍「…きかせてくれないか。お前の知ってる"ひま"のこと。"百桃"のこと。他の…"あいつら"のこと。」



ここまでずっとただ黙って聞いていた星。



かたい表情で直樹の返答を待っている。



直樹「…嗚呼。"あいつ"にも許可を得たからな。


教えてやるよ。
"あいつら"の……"虹羽百桃"の人格たちのことを。」