クロ * Full picture of the plan * Ⅳ




都兎「っ答えろ!!まただんまりかよ!なあ!?」



私を抱えたまま、お兄ちゃんは百桃を蹴飛ばした。



軽い百桃はそれだけで数メートル後ろへ下がった。



蹴ったお兄ちゃんの顔が今までに見たことがないくらい怖くて、何か取り返しのつかないことをしそうで、腕の中から必死で声を上げた。



希輝「おにいちゃんっ!なにもされてないよっっ!!ねえおにいちゃん!!!!きいてっ!!」



手足をばたつかせて暴れ、大声で叫んだ。



都兎「…っ…」



すると、お兄ちゃんから嫌な気配が消えた。



それと同時にお兄ちゃんの体が震えだした。



希輝「おに、ちゃ?」



都兎「ぁ……ぁあっ………」



私から手を離して、頭を抱えて座り込んだ。



言葉にならない声を上げ、震えている。



なんでこうなったのか、なんて当時の私も今の私もわからない。



それでも、落ち着かせなきゃ、という気持ちだけはあった。



希輝「おにいちゃん!おにいちゃんっ!!
ききだよ、きき!わかるよね!?おにいちゃん!」



都兎「あ"あ"あ"ぁぁっ……ぁ…っ…………」



けど、私が話しかければかけるほどお兄ちゃんは苦しんでいた。



なんでかはわからなかったけど、黙ってることなんか出来なくて、ひたすら声を掛け続けた。



希輝「おにいちゃん!ねえっおにいちゃん!!おに」



百桃「僕が、やる」



お兄ちゃんの体を揺さぶる私の手を掴んで百桃がそう言った。



普段なら何か反抗していたのだろうけど、この時は必死で、無言で退いた。



百桃は頭を抱えていたお兄ちゃんの手を無理矢理剥がし、無表情で語りかけた。



百桃「…虹羽都兎。お前は、何もしてない。何も知らない。全ては、虹羽百桃のせい。」



都兎「ぅあっ……こ、うは、もも…の、せい」



百桃「そう。虹羽百桃のせい。虹羽都兎は、何もしてない。悪くない。」



都兎「…な、にも、し、てない、……」



百桃の言葉を虚ろな目をして復唱するお兄ちゃんはまるで何かに"操られている"みたいだった。



百桃「(パチンッ)」



バタッ



希輝「っおにいちゃん!!」



2人が会話とも言えない会話を数回した後、百桃は小さな手を鳴らした。



その音を聞くとほぼ同時にお兄ちゃんは倒れた。



慌てて駆け寄ったけど、お兄ちゃんは寝ているだけだった。