驚いてピッタリとくっつけていた体を離すと、本棚はひとりでに前見たあの場所で止まった。
停止してからも数秒は動けなかったが、我に返った私はポッカリと空いた真っ暗な空間に足を踏み入れた。
すると、ただ中に入っただけで何もしていないのに勝手に電気がついた。
吃驚して上を見上げると、この前は気づかなかったが天井には白い雲の浮く青空が描かれていた。
まるで子供に与えられた部屋みたいに箱いっぱいのおもちゃもあった。
…ここは、誰の部屋…?
何故かその時私は何か見てはいけないものを見てしまっている気がした。
希輝「…あ、。」
得体の知れない罪悪感を抱きながらも部屋をぐるーっと見渡していたら"あるもの"を見つけた。
丁度手に届く位置にある"それ"に手を伸ばした。
チャリンと小さく金属同士がぶつかる音がなったが、そんなこと気にしていられなかった。
"あるもの"に持ち主のマークを見つけたから。
希輝「ーーーっ…!な、で……?どーして、、??」
"あるもの"。……それは、パパから貰ったブレスレット。
それも、ただのブレスレットじゃない。
私と来蘭と百桃でお揃いのもの。
レモンイエローを私、パープルを来蘭、ピンクを百桃に重ねた三つの星がついているブレスレット。
それぞれの星に、『K』『R』『M』とイニシャルがふってあり、持ち主のイニシャルだけゴールドに彫ってあるのだ。
私がつけているブレスレットには、『K』がゴールドで彫られているから私のもの。
そしてこのブレスレットには、『R』の文字。
…おかしい。
あの日、来蘭はこのブレスレットをつけていた。
この目で確認したからそれは間違いない。
死んでしまった来蘭がここへ持ってこれるはずもない。
でも、パパ、ママ、来蘭の遺品は全ておじいちゃんが持っているはずなのだ。
ここに、来蘭の遺品である"これ"があるわけがない。
訳の分からないこの状況に思わず固まっていると、そこへ"帰ってきた"人物がいた。
百桃「…き、き?」
その声にハッとして振り向いた。
希輝「、もも…っ」
百桃のその姿にもまた驚いた。
何故か百桃は数日前のあの時のように服も顔も傷だらけでボロボロだったから。
百桃「なに、し、てるの…」
入口のところで固まる百桃の言葉に我に返り、手に持つブレスレットを見せつけるように突き出した。
百桃「っ!、かえしてっ」
更に目を見開いたのは一瞬で、私が引っ込める隙もなく手の中のものは奪われた。
私に盗られないためか、ぎゅっと両手で握りしめて睨みつけられる。



