飛鳥「…で、どうすんの」



こんなの今までにない、ってくらい重い沈黙の中、飛鳥がいつも通りに口を開いた。



雷「……どうする、っつったって俺らに何が出来んだよ」



ここ数日、雷はずっとイライラしていた。



まぁ、原因はわかるけど。



飛鳥「それでも考えなきゃなんないだろ。
たった一年でも俺たちは四代目なんだからよ」



飛鳥のいうとおり、たったの一年間。



いや、まだ一年もたってない。



まだ、幹部らしいことなんて、一つもしていない。



大体、まとめてたのは葵絆で、俺たちは一緒にいるってだけ。



今更幹部だから、なんて言われても何も出来ない。



雷「……やめればいいんだろ?俺たちが。
葵絆もいなくて、まとめられもしない俺たちが幹部をやってたって意味が無い」



はぁ…。と顔を歪めながら、俺が考えていたことと同じことを言った。



飛鳥「だから、そんなん俺らもわかってるよ!
そうじゃなくて、誰に次を継がせるんだ。っつってんの!!無責任に押し付けられねぇんだぞ!」



雷「そんくれー知ってるよ!!
んな事言ったって、俺たちに決められんのかよ!?」



飛鳥「だーかーらー!俺たち'が'決めなきゃなんねぇんだよ!!仕方ねぇだろ!!」



ただでさえ色んなことを考えなきゃいけないのに、2人の口論はどんどんヒートアップしていく。



イラついていた雷につられ、飛鳥までもがピリついてくる。



こうなったらやっかいこの上ない。



俺までも聞いているだけで、ふつふつと怒りが噴き上げてくる。



いい加減怒鳴りつけようかと立ち上がった、その時。



ーーガチャッ



ノックなしに幹部室のドアが開いた。



怒りの絶頂に達しようとしていた2人も奇跡的に気づいたらしく、小さく開いたドアに鋭い目を向けた。



小さく、俯いたまま入ってきた人物。



それは、10日前から一度もあっていなかった、百桃だった。



京「百桃、お前……」



裏口の鍵は閉めていた。



今日、俺たちが集まることは言っていなかった。



…はず、なのに……。



でも、正直そんなことはどうでもよかった。



俺たちには、百桃に聞きたいことがあったから。



…聞くだけでよかった、、なのに……



あんなことになるなんて‥‥



考えもしなかった。