トントンっと軽く背中を叩くと百桃は泣きやみ、葵絆が手を離す。



『きずなさん』と堅苦しい呼び方をした百桃に呼びやすいよういうと、ぎゅっと葵絆の服の裾を握って『きーちゃん』と呼んだ。



自然と上目遣いとなった百桃に、背中だけ見てもわかるくらいデレデレする葵絆は正直気持ち悪い。



志「おいっ葵絆だけズルイな!
百桃ー、俺のことも呼んでっ!!」



百桃「……こ、、ここちゃん…っ?」



いい雰囲気だった葵絆と百桃の空間を破って入ったのは百桃の隣に座っていた志。



どうやら葵絆へのあだ名を聴いて自分もあだ名呼びにして欲しいらしい。



百桃も志の意図をしっかりと理解し、葵絆の服を掴んだままコテンッと首を傾けて『ここちゃん』と呼ぶ。



…流石血の繋がった兄弟だ。



でれっとした態度も、空気も、全部一緒だ。



雷「…お前ら気持ち悪ぃ。
つか、勝手に話進めてんじゃねーよ!」



3人だけの空気になっていたところにツッコミをいれ、俺たちも百桃に近づく。



俺の声に振り向いた葵絆が驚いたような顔をしていたがそれも一瞬で、すぐに笑顔になって俺たちを交ぜる。



葵絆「百桃ー、雷たちはなんて呼ぶ?この際呼び捨てでもいーんじゃね??(笑)」



ケラケラと笑って不満たらたらな俺たちをからかう葵絆。



……一発殴ってやろうかな、と考えたくらいだ。



百桃「……らーちゃん、、?」



雷「…え?あ、もしかして俺っ!?」



本当に殴ろうかと手を振り上げようとした瞬間、百桃が『らーちゃん』と俺を見つめて言った。



吃驚して思わず聴くと、コクリと泣きそうな顔で頷いた。



恐らく俺が怒るとでも思ったのだろう。



……俺だって別に誰にだってキレるわけじゃねーし、。



雷「…別に、、百桃がそれが良ければいいんじゃねーの?」



志「はははっ!素直じゃねーヤツ(笑)」



雷「うっせー!!黙れ志!!」



飛鳥「ちょっと2人ともうっさい!」



京「百桃!!俺たちは?」



からかってくる志と言い合っていると、百桃に話しかけていた飛鳥に怒鳴られ、2人して黙った。



それを確認した京はすぐに百桃に問いかけた。



期待の目で自分を見る京と飛鳥に驚いたのか、少し目を見開いたあと微笑んで2人を呼んだ。



百桃「あーちゃん、、きょーちゃん、?」



京「おっ!いーね!!」



飛鳥「よろしく、百桃。」



『あーちゃん』『きょーちゃん』と呼ばれた2人は更に笑顔になり、京の方は百桃に抱きついたくらいだ。



百桃「ーーーーっっ!よ、ろしく…おねがいします………!!」