雷「ぷはっ、…ちょ、葵絆!!」
ガチャンッ
葵絆「あーもう、とりあえず煩い。」
鍵を閉めた葵絆はそう言って俺の背中を押して奥に進む。
雷「煩いって…!お前、何してんだよ!?」
さっき葵絆がいた場所に連れてかれた俺はその"人物"を指さして葵絆を問い詰める。
葵絆「何、って見ればわかんだろ?手当してんだよ。」
なー?とその"人物"が座るベッドに腰掛ける葵絆。
それがあまりにも普通で、耐えきれず声を荒らげる。
雷「おまっ、!んなこと聞いてんじゃねぇよ!!この"痣"や"痕"はなんだ、っていってんだ!!」
"それ"を聞かざる負えなかった。
…だってその"人物"は葵絆が連れてきた"子供"で、身体中には痣や痕が真っ白い肌を覆い尽くすくらい沢山あったんだから。
葵絆「いいから落ち着け。
…大声出してごめんな?痛くないか??」
そう言いながら手に包帯を持つと傷だらけの"子供"の腕に巻き付けていく。
‥‥なんで葵絆はこれをみて冷静でいられるんだ。
明らかに"誰か"に付けられた、ただれている火傷の痕や暴力の痕、そしてなにより鎖骨辺りに散りばめられた行為の痕。
雷「‥‥っ、、なぁ、手伝っていいか‥‥?」
ただ見ているだけでも目を背けたいほど酷かった。
…でも葵絆が何も言わずに淡々と手当していく姿を見て、俺も突っ立ってるだけじゃなく手伝いたいと思った。
でも本当は、ただ俺がその傷だらけな身体を見ていられなかったからなのかもしれない。
-手当を始めて数分後。
とりあえず見えているとこ全ての手当は終わった。
ふぅ…と一息ついたところで思い出した。
雷「あっ!!」
葵絆「っなんだよ、いきなり。」
雷「忘れてた!俺、お前ら呼びに来たんだった、、。」
わざわざここへ来た理由を。
葵絆「‥‥え、マジか。
あー…もう10分くらい経ってっけど、、行くか?」
雷「行くか?じゃなくて、行くに決まってんだろ!?京たちだって待ってんだよ!」
ほら、行くぞ!と"子供"と葵絆を引っ張って総長室をあとにした。



