辰巳「…とりあえず葵絆のいう通りにするか。」



動揺しまくる俺たちの中、唯一葵絆がキレたのを見たことがあるのかタツさんは冷静だった。



冷静な考えが出来ない俺たちはタツさんに従うほかなかった。



辰巳「お前らまだ寝てねぇんだろ?一旦仮眠して来い。俺も一旦帰るわ」



「「「…わかった、。」」」



じゃあな。とタツさんも出ていき、俺たちは一度目を合わせてから1人ずつ自分の部屋に戻っていった。



‥‥寝る直前に見た時計の時間は、もう3時すぎだった。



-ピピピッピピピ,カチッ



11時にセットしてあった目覚ましの音で目覚めた。



もう外…ってか下が騒がしい。



恐らく志やメグたちが来たのだろう。



俺は急いで着替え、話をすると言っていた幹部室へ向かった。



ーーガチャッ



京「あ…おはよう、雷」



飛鳥「はよ。」



幹部室にいたのは京と飛鳥だけ。



雷「おう。…葵絆とタツさんは?」



1人がけソファーに腰掛けながら2人に問いかけた。



京「葵絆はまだ。
でもタツさんたちは今来たらしいな」



下がザワザワと騒がしいのはここでも変わりない。



だからこいつらもタツさんたちが来ていることがわかってる。



敢えて迎えに行かないのは、あの"子供"と葵絆がまだ来ていないから。



…でも、昼前に話すと言っていた葵絆がまだ来ないのはおかしい。



雷「…俺、葵絆呼んでくるわ」



あの時の葵絆が何か隠していた気がして、葵絆がキレていたのも忘れて俺は総長室へ向かった。



ーーコンコンッ ガチャ



雷「葵絆、?」



2回ノックし、返事を待たずにドアを開けた。



‥‥ちゃんと返事を聞いてから入ればよかったと後悔するのは、数秒後。



葵絆「え、っあ…待て!」



雷「え?」



俺だと気づいて止められても、もう遅い。



俺はもう中へ足を踏み入れていた。



雷「っっっ!!」



中の状況を見た俺は声にならない声を上げた。



雷「なっ、んぐっ」



葵絆「ちょっ、!黙れ。」



声を上げようとした俺の口を抑えて廊下を見渡してからドアを閉めた葵絆は、やっと俺の口から手を外してくれた。