葵絆「…ってわけで、連れてきた。」
な?と隣に座らせた"子供"に同意を求める葵絆はすっかりいつも通りだ。
心配してた俺らが馬鹿らしくなってくる…
京「じゃあ誰なのか知らないっつーのは‥‥」
葵絆「単純に俺が聞き忘れた。」
「「「おいっ!!」」」
……前言撤回。
やっぱ葵絆の方が馬鹿だ。
雷「普通最初に名前聞くだろっ!」
答えるかどうかは別として、普通連れてくる前に聞くだろ!?
つーか、普通に連れてきてっけど誘拐と同じだからな!?
…葵絆って頭いいくせに変なとこで馬鹿なんだよな‥‥
雷「‥‥なぁ、お前名前は?」
色々と聞き忘れる葵絆には任せておけず、目の前に座る"子供"に俺が問いかけた。
じーっと黙って俺たちの会話を聞いていた"子供"は無表情のまま俺に顔を向けて答えた。
‥‥いや、答えようとした。その時、
ーーガチャッ
幹部室の扉が音を立てて開いた。
辰巳「お?お前らまだ起きてたのか??」
「「「「タツさん!」」」」
そこから入ってきたのはいつものラフな格好ではなく、スーツ姿のタツさんだった。
反射的に立ち上がった俺たちは驚きを隠せないままタツさんに聞いた。
飛鳥「な、なんでタツさんが‥!?」
京「しかもこんな時間に……」
辰巳「あー、ちょっとお前らに話があっ…て、?」
苦笑いしながら俺たちに近づいてきていたタツさんが目を見開いて立ち止まった。
その目線の先を追うと‥‥その先にはソファーに座ったままの"子供"。
それに気づき、誤魔化そうとしても遅い。
雷「あ、あの、、これは、その‥‥」
別に子供の出入りを制限されているわけではないが、一般人を巻き込むのはここのルールとして禁止されている。
だから咄嗟にヤバイと思った。
…けど、
辰巳「なんで……"百桃"が、…?」
「「「「‥‥え?」」」」
‥‥タツさんが固まっていた理由は違った。
京「もしかして、、この子と、知り合い…?」
そんな質問に、タツさんは信じられないことを返した。
辰巳「知り合い、も、なにも‥‥こいつは、、
智軌の…娘だ、。」
「「「「‥‥‥‥え、っ??」」」」