…いつの間にか眠らされ、気がついたら1人で真っ白な密室に閉じ込められていた。



手には手枷、足には足枷、密室には安易なベッドとトイレのみ。



少し重みのある枷は無理矢理にでも外そうとすれば手足が使い物に無くなる仕組みにでもなってるのだという事はすぐに想像出来た。



そんなことより一緒に来たひまは無事なのか、何処に居るのか、



誰かに聞こうにも足音一つ聴こえないこの空間では考える事さえ無駄な気がしてくる。



…これから何が起こるのだろうか、俺は殺されるのだろうか、



そんなくだらないことを考えること、およそ数時間。



やっと、唯一の扉である白いドアが小さな音を立てて開いた。



「……っっ!!………っ」



言葉が、出なかった。



だって本部の人間かなんかかと思っていたのに、まさか…



「な、で……っ!!向日葵が‥‥、?」



ひまが来るなんて……



俺と同じように捕まっていると思っていた筈のひまが、なんで…



所々赤黒い血に染まった白いワンピースを着て、俺の枷の鍵を持っているんだ‥‥?



明らかに人為的に付けられたひまの顔や足、腕にある傷や痣は今日付けられたものではないのは一目見てすぐ分かった。



慣れた手つきで俺の手足の枷を外し、呆然とする俺の手を引っ張って密室を飛び出す姿は"慣れすぎ"ていた。



まるで、何度も何度も密室から逃げ出したことがあるかのように、



入った時何千ともいた人間が1人もいない、細く暗い道とも言えぬ道を通っていく。



…たった数分程度なのに裸足で手を引かれ走る俺には永遠に続くのではないかと錯覚してしまうほど、吸い込まれていた。



「はぁっはぁっ…っ、こは、く……ッ」



立ち止まり、ひまに手を離され、話し掛けられたその場所は、見覚えのある俺たちの家だった。