あまりにも突然のことで反応出来なかった俺が理解し、一歩踏み出した頃にはもう既に餓鬼は崩れ落ちた状態のまま、力無く俺を見つめていた。



「………ぁ、れ?」



初めはぽかんと固まってた餓鬼も、数秒すればスッと立ち上がり、俺の目の前へ来て口を開いた。



「…あまつ、ちとせ……さん、。
ぼくは、あなたのみかたです
"僕が僕でいる間なら"、なんどでも…あなたをたすけます。


だから、ぼくの"大切な人"だけはきずつけないで。なにがあっても…ね」



それだけ言い残し、餓鬼は去っていった。



……それから一度も、毎日あの時間にあの場所へ行ってもあいつは現れなかった。



それでもただ一つ、あの餓鬼が"虹羽百桃"であり、救わなきゃならねぇことだけが俺の頭に刻み込まれた。



…そしていつしか、あの問いかけの答えを思い出した。



『…これはいっしょうはずれない。"あの人"のしもべでどうぐのあかしだから』



鍵も付いてないただのアンクレットを、百桃は"一生外れない"と言った。



"あの人"が誰なのかはわからねぇが、そのアンクレットは百桃が付けた物でもねぇし、外しちゃならねぇ物。



そしてそのアンクレットのデザインは特注であり、世界に一つしかねぇ物だと。



そのアンクレットに刻まれていた文字は今でも頭から離れることは無ぇ。



外側に見えるように彫られてたのは、
"Cavia №96"」