大輔「…あいつの情報ならやらんぞ。」



陽向「お前に拒否権などない。

刹那の正体はとっくに知ってんだ。
知りたいのは正体じゃない、お前との関係と刹那の存在意義だ。」



お前なら知ってんだろ。とじっと大輔さんだけを見つめる陽向の目は鋭い。



だが、流石暴力団を相手にしている人だ。



陽向の鋭い目に力強く睨み返す。



大輔「……お前はあいつの"何"だ。」



俺たちに向けた言葉じゃない。



陽向1人"だけ"に向けた言葉だ。



陽向「……俺は"味方"さ。
ちゃんと認められた、ね」



ニヤリと口角を上げて答えた陽向を見て、大輔さんは明らかな敵意を向けるのをやめた。



どうやら陽向の勝ちらしい。



大輔「…いいだろう。少し待ってろ」



そう言い残して出ていった大輔さんの行く先は、恐らく書斎だ。



多分刹那の資料でも持ってくるのだろう。



そして、5分も経たずして戻ってきた大輔さんの手には十冊以上ある分厚いファイルが握られていた。



ドサッ



紫月「まさか、全部刹那の??」



大輔「ああ。あいつが現れた時から今までの全部だ」



大輔さんは顔を上げずにドサッと置いたファイルの中で一番年季が入っているものをパラパラと捲った。



大輔「…あった。これだ」



あるページを開いて俺たちに見せた大輔さんはそのまま過去のことを話し出した。