騎士「…で、さっきの話だけど。」



琳歌「え?あぁ……うん。」



騎士は再び私から離れ、柵に寄りかかった。



私は立ったまま向き合って騎士の話を聞く。



騎士「お前は心友じゃないとか言ってっけど、それだったら俺も同じだろ。」



琳歌「へ??」



騎士「だってそうだろ??
お前は向日葵と…10年くらいか?一緒にいて、知らないことが多いんだろ?

それなら同じくらいの付き合いの俺の方が知らないこと、多いだろ。」



違うか?と私に問いかけるが、私は何も言えないまま、騎士が呆れた様に言葉を続ける。



騎士「見てる限りあいつはお前を信用してるからこそ、琥珀たちを任せられるんじゃねぇのか?

つーか、お前が心友じゃねぇなら、俺は秘書失格ってことになるんだけど。」



琳歌「!!そんなわけ!
騎士が秘書失格なわけないじゃん!!あれだけ尽くしてるのに!!」



騎士は自分の家が財閥だから、幼い頃から経済学を習っていた。



それを、西園寺グループではなく、虹グループで発揮してるのは、騎士がそれだけ社長であるひまちゃんに尽くしてるからこそだ。



それなのに、騎士が秘書失格なわけがない。



騎士「は、そうゆうことだ。
俺からしてみりゃ、琳歌はあいつの心友だろうぜ?
そうじゃなきゃあいつはお前を味方で仲間とは判断しない。そうだろ?」



琳歌「っ…、でも、私はひまちゃんに何も返せてない。」



私は助けてもらってばっかりだ。



騎士「馬鹿だなお前。」



琳歌「なっ!」



馬鹿にしたように鼻で笑う騎士に私は言い返そうとしたが、その前に騎士が私の頭にぽんっと手を置いた。



騎士「向日葵は見返りなんて求めてない。
ただ、お前が生きて、傍にいてくれるだけで救われてるんだろうぜ」



だからお前はそのままでいればいい。と幼い子供をあやすように優しく私の頭を撫でた。



…騎士の言葉に救われた気がした。



私は私が出来ることでひまちゃんを助けよう。



この日、私はそう決めたんだ。