女の子が俺に渡そうと手の中に入っていた"もの"は、俺が手を弾いたことで落とした。



それの正体はなんだかははっきりは分からなかったが、その"もの"は3つの丸いものだった。



街灯に反射し、キラッと一瞬光ったその"もの"は今考えてみれば金属類だったのだろう。



…今となっては確認しようもないが。



「あんたが死ねばよかったのに!!
兄ちゃんじゃなくてあんたがっ!!!!」



俺はいつの間にか柵から手を離し、女の子の胸倉を掴んで泣きじゃくっていた。



「…ゴメ、ンナサイ、、、
ボクノセイデ…………」



「…あんたのせいで!
なんで兄ちゃんが死ななきゃなんなかったの!?


兄ちゃんをかえせよっ!!
兄ちゃんをかえせっっっ!!!」



狂ったように女の子を責めた。



女の子がどんな表情をしていたのかなんて一目も見ないで、



俺は女の子をただただ泣きじゃくって責め続けた。



「なあっ!!たのむから兄ちゃんをかえしてっっ!!いやだよ!
俺はもう、ひとりはいやなんだよ!!

おねがい…っ、かえして!!!!
兄ちゃんを!あにきを!!


俺のかぞくをかえして…ッッ!!!!」



…この時の俺は、ただ怖かった。



親代わりだった兄ちゃんは死んで、兄貴は行方知らずで。



俺が1人で生きていくのが怖かった。



だから俺は目の前の女の子のせいにして、自分が逃げれるように責め続けたんだ。