…母さんがいた、横の部屋が爆発した。
母さんは爆風と共に吹き飛ばされ、爆発のせいで吹き飛んだドアに押しつぶされた。
「ルリ!ルリ!!」
父さんがドアに下敷きにされた母さんへと駆け寄る。
「ぁ……あ………」
…立ったまま動けなかった俺が見たのは、隙間から見えた赤黒い血に染まる母さんだった。
父さんが泣きながら母さんに何かを言っているのが聞こえたが、呆然としていて何を言っているかまでは分からなかった。
……それどころじゃなかった。
俺が転んだから、母さんは俺のために走った道を戻ってきた。
俺のせいで、母さんは吹き飛ばされ、死んだ。
そうは分かっていても、パニック寸前の俺には何がなんだかさっぱりで、頭が真っ白になった。
俺のせいで、俺が転んだから、俺が母さんを殺した。
パニック状態の頭の中でグルグルとそんな言葉が回る。
俺が、俺のせいで、。
ただただパニックになって、次第に息が荒くなる。
「ハァハァハァハァ、、ヒューっヒュー、ヒッ…」
そしてどんどんと息が苦しくなった。
ヒューっヒューっと本来聞こえるはずのない俺の息遣いが耳に入る。
恐らくこの時の俺は過呼吸を起こしていた。
必死で息を吸おうとするも、上手く出来なくて、ただただ苦しくて、。
俺は座り込んで泣きじゃくっていた。
次第にそんなおかしい俺に気がついた父さんが俺に駆け寄ってきたのが涙でぼやけた視界に入った。
「琥珀!!琥珀!!ゆっくり息をしろ!ゆっくりだ、ゆっくり、ゆっくり。」
父さんの方が気がおかしくなりそうな筈なのに、必死で俺を落ち着かせようとする。
そんな俺たちの頭から炎のことなんて既に消えてて、ただ落ち着くことに専念していた。



