俺は父さんに頭を撫でられ、それのついでという風に抱き上げられた。
「ここはまだ火が回ってないみたいだな…」
「琥珀、なんでこんなところ知ってたのよ?」
火が回ってないことに安心し、少し落ち着いたのか、2人は俺を見て問いかけてきた。
「あの、パーティーにさんかしてた人が、このかいだんを使って、へやに来てくれって話してたのをぐうぜん聞いて……」
パーティー会場から戻る時、俺は偶然にもその会話を耳にした。
…内容から察するに愛人か何かだったのだろう。
まあ、今となってはどうでもいいし、そのお陰で下へと下りれたのだから感謝はしている。
「!!おい、階段が無くなってるぞ…」
何階分下りたのかはわからないが、一番下に下りる前に階段は終わっていた。
「でも、ここからならあの階段でも下りれるだろうし…」
「…とりあえず様子を見てみるか。」
母さんと父さんは2人で頷き合い、階段の終わっていた階の扉を開けた。
シャーッ
スプリンクラーが作動しており、階段とは逆側には少し炎が見えた。
恐らく、この階も急がないと危ないだろう。
走れるか?と父さんに降ろされた俺は縦に頷き、父さんの合図と共に走り出した。
「ハァハァハァ…」
いくら運動神経が良くても、子供の体力なんて計り知れている。
ツルッーーバシャッ
当然、父さんたち大人の足についていけるはずもなく、俺は濡れた床で足が滑って転んだ。
転んだ音に気づいた父さんと母さんは足を止め、俺の方へと戻ってきた。
…だが、
ドカンッーーバンッ
「っっ!!!!」
「ルリ!!」「母さん!!!!」



