「あなた!」
「あった!!これだ!!!!」
外ではまだ警報が鳴り続けており、俺を抱えている母さんは、まだかまだかと父さんが探し終わるのを待った。
数十秒、もしかしたら一分程度だったかもしれないが、緊急事態の今ではかなり長い時間に感じられ、母さんは体を震わせ、父さんを呼んだ。
父さんはやっと探していたものが見つかったのか、ものをポケットへと入れ、行くぞ!と部屋を出た。
俺たちが泊まっていた部屋はかなり上の方で、エレベーターが使えない今、階段をただかけ降りるしかなかった。
…だが、その途中の階段で下から炎が出ているのがわかり、先に進めなくなった。
ただでさえパニック状態になりかねないのに、進めなくなったことで更に追い詰められる。
「あなた!どうするの!?」
「くそっ!!あともう一つ階段があれば!!」
スプリンクラーが作動したからか、濡れている廊下を必死で走りながら父さんたちが会話する。
俺は、息切れしながらもふと思いついたことを2人に叫ぶように言った。
「父さん!母さん!左おくから3ばん目のへや!!あけて!!」
必死で叫んだ俺に賭けたのか、父さんと母さんは俺の手を引っ張ったまま左側の奥から3番目の部屋に飛び込んだ。
「琥珀!ここに何があるんだ!?」
「ハァハァ…そこ、右のっ、へや!ゆかっ!!!!」
息切れし、途切れ途切れの俺の言葉を最後まで聞いた父さんが俺の言葉通りのところへと走った。
「…!!!!おい!ここに階段があるぞ!!」
床にあったスイッチを押したのか、床が開き、階段が現れた。



