「…俺、あした父さんと母さんとパーティーに行くんだ。
なんか、父さんの知り合いの人がしょうたいしてくれたらしくてさ
〇〇ホテルってゆーんだけど、知ってる?」
月を見上げていた顔をひまの方に向け、話し出した。
ひまは俺の問いかけに軽く縦に頷いた。
俺は、やっぱり知ってたか。と苦笑いしながら言葉を続けた。
「…正直言ってさ、大人って好きじゃないんだ。
なんでもいつわって、子どもだからって俺たちにはひみつ事をする大人たち
だからほんとはパーティーなんか行きたくない。」
当時の俺は嘘が嫌いで自分でつくことさえも嫌いだった。
だからこそ、俺を子供扱いして平然と嘘をつく大人が大嫌いだった。
…今となってはそんな嫌いな嘘をつき続けてたけどな。
「……。」
「…でも、めったに休みがない父さんたちが、いっしょにいれるなんてすう年ぶりだから」
…父さんたちには何も話せなかったのに、何故かひまに対しては本音がサラリと出てきた。
「……僕も、あしたは〇✕ホテルにひよとひなととまる。」
俺の独り言に近い言葉をずっと無言で聞いていたひまが、ポツポツと話し出した。
「え、っ!?
〇✕ホテルって、俺のとまる〇〇ホテルのとなりじゃん!!」
ひまの言葉に驚いたが、親友が近くにいてくれるという安心感があり、俺にとっては嬉しかった。
「…ひまだったら、でんわとか、してきていいよ。
すぐ、だし。あそびに行ける」
自分から動くタイプじゃないひまがそんなこと言うとは思わず、更に驚いたが、俺は笑顔で返した。
「!じゃあ、へやばんごうとか分かったらおしえるから!!ぜったい来いよ?」
「うん。」
「ひなたちにはまだ言うなよ?
あとのサプライズな!」
…この時、俺はひまにそう言ったことを後悔している。
俺がああ言わなければ、ひまが余計な"罪"を背負うことなんかなかったのに……、。



