クロ * Full picture of the plan * Ⅳ




「…俺、あした父さんと母さんとパーティーに行くんだ。
なんか、父さんの知り合いの人がしょうたいしてくれたらしくてさ

〇〇ホテルってゆーんだけど、知ってる?」



月を見上げていた顔をひまの方に向け、話し出した。



ひまは俺の問いかけに軽く縦に頷いた。



俺は、やっぱり知ってたか。と苦笑いしながら言葉を続けた。



「…正直言ってさ、大人って好きじゃないんだ。
なんでもいつわって、子どもだからって俺たちにはひみつ事をする大人たち

だからほんとはパーティーなんか行きたくない。」



当時の俺は嘘が嫌いで自分でつくことさえも嫌いだった。



だからこそ、俺を子供扱いして平然と嘘をつく大人が大嫌いだった。



…今となってはそんな嫌いな嘘をつき続けてたけどな。



「……。」



「…でも、めったに休みがない父さんたちが、いっしょにいれるなんてすう年ぶりだから」



…父さんたちには何も話せなかったのに、何故かひまに対しては本音がサラリと出てきた。



「……僕も、あしたは〇✕ホテルにひよとひなととまる。」



俺の独り言に近い言葉をずっと無言で聞いていたひまが、ポツポツと話し出した。



「え、っ!?
〇✕ホテルって、俺のとまる〇〇ホテルのとなりじゃん!!」



ひまの言葉に驚いたが、親友が近くにいてくれるという安心感があり、俺にとっては嬉しかった。



「…ひまだったら、でんわとか、してきていいよ。
すぐ、だし。あそびに行ける」



自分から動くタイプじゃないひまがそんなこと言うとは思わず、更に驚いたが、俺は笑顔で返した。



「!じゃあ、へやばんごうとか分かったらおしえるから!!ぜったい来いよ?」



「うん。」



「ひなたちにはまだ言うなよ?
あとのサプライズな!」



…この時、俺はひまにそう言ったことを後悔している。



俺がああ言わなければ、ひまが余計な"罪"を背負うことなんかなかったのに……、。