「…いいよ、べつに。」
「本当!?無理してない??」
「だいじょーぶ。」
「…ありがとな。琥珀。
よし、パーティーが終わったらなんか欲しい物買ってやる!何が欲しい?」
俺が大人嫌いだと知っている父さんは、俺が2人を困らせたくないから。ということに気がついていたのだろう。
それでも、俺が意思を変える様子がないから、わざと話題を変えてくれた。
それからは先程のように静かに夕飯を食べ始めた。
…そして、いつものように風呂に入って、部屋に戻って、ベッドに寝っ転がった。
けれど、いつまで経っても明日のパーティーのことが気になって眠れない。
ガチャッ
外にでも出れば気持ちが落ち着けるかと思い、俺は家を抜け出した。
数十分間、俺は人通りがなく、補導されない細い道を歩いて、ある公園へと向かっていた。
その公園は近くもなく、遠くもなく、1人になりたい時によく行っていた公園だった。
街灯が少なく、人通りもないに等しい、昼間でも静かな大きな公園。
そんな公園に着いた俺は、予想もしなかった人物に驚いた。
「ひま!」
「……、こーちゃん??」
俺がいつも座る定位置のベンチに、見たことがない真っ白の長袖のワンピースを着た少女、ひまがいた。
…考えてみればこの時からおかしいと感じていた。
初めて会った時から白とピンクが嫌いだと、見たくもないと言っていたのに。
そんなひまが好んで着るわけないのに。
俺はそれどころじゃなく、それをスルーしていた。



