家に着いてすぐ、俺たちは救急箱を用意し、手当をしだした。
「…ひよ、この子」
「……ひどいね」
ボロボロだった服を脱がせ、ひよが体を拭き終わると、血塗れのせいで分からなかった身体が傷や痕でいっぱいだった。
「…とりあえず"あざ"にはしっぷをはって、"きず"があるところはぜんぶしょうどくしよう。」
身体全体に広がる大量の痣や傷。
それを見て顔を歪めながら俺たちは手当を進めた。
「んっ…」
手当を終え、ひよが少女に服を着せてソファーに寝かせていた子は目を覚ました。
「ひよ!おきた!!」
「だいじょうぶ!?」
近くでその様子を見ていた俺がひよを呼び、その子に近づいた。
…だが、
「…だれ?僕を殺してくれるひと??」
初めて見た、綺麗な赤黒色と銀色の瞳は真っ暗な闇に染まっていた。
その子は幼いのに、何故か全てを諦めているようにも見えたのだ。
「…ころさないよ?」
「…どうして??僕を殺してくれないの?」
無表情で殺してと淡々と言った目の前の子に、俺はただただ固まるしかなかった。
そんな俺を横目に、ひよは困惑気味でその子へと問いかける。
「…どうしてそんなにころしてほしいの?
あなたが血まみれだったことにかんけいあるの??」
「…………。」
だが、その子はそれっきりで何も話すことはなかった。



