イヤホンを右耳に、小型端末をシャツの胸ポケットに入れたこーは、動かない下っ端たちを見ながらそう言った。



恐らく倉庫で待機するのは下っ端、そして今上で見ている先代、同盟総長だろう。



琥珀「……お前らに強制はしない。
俺たちの過去を、ひまの闇を知りたければコレを取ればいい。


さっきも言ったが、俺たちは犯罪者だ。
当然知ったのなら裏の重さを知ることになる。命を落とす可能性だってある。

……それでもまだ、俺たちを仲間だと、ひまを助けたいと思うのなら、聞いて欲しい。」



煩かった後ろのりゅーたちもこーの真剣な言葉に耳を傾け、再び倉庫が静まった。



琥珀「この端末のボタンを押せば、訊きたい疑問に思ったことはこっちに聴こえるようになってる。

イヤホンは俺とひなの端末に繋がっている。
上のボタンを押せば俺の、下のボタンを押せばひなのに繋がる。今は俺のに繋がってるから話はこれで聴ける。

裏切ってたのは事実だから、聴かなくたって誰も責めない。
死ぬ覚悟が無ければ聴かない方がいい。


俺からはそれだけだ」



ここにいる下っ端たちは、こんなことになるなんて想像すらしていなかっただろう。



ただ喧嘩をし、仲間となり、バイクをとばす団体の暴走族が、裏に繋がるなんて。



殺し屋がいるなんて、考えもしなかった筈だ。



…だから、知らなくていい。



一般人のこいつらは死ぬ覚悟なんて出来るはずがないんだから。