普段無表情の凪は何を考えてるかなんて想像もつかないし、かなり変わった奴だと思ってた。
ここも、暇つぶしなんだろうな…くらいにしか思ってなかった。
でも、仲間を簡単に切り捨てるような奴じゃないと。
ずっと心の中で思ってた。
副総長のくせに無表情で、見た目に反し馬鹿だけど、
一番信用出来る奴は凪だと、再確認させられた気がした。
彼方「………俺は、」
下っ端、先代、俺たちからの全員の視線を集めていた彼方は俯いたままポツリと話し出した。
彼方「俺は、伊織がスパイだって知ってたんだ。」
「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」
考えもしなかった彼方の言葉に、俺たちは勿論、伊織も驚いた。
…彼方が伊織がスパイだと知っていた!?
それなのに、何もしなかったのか…?
思わず問い詰めたくなったが、今は俺が喋るべきではないと気付き、口を噤んだ。
伊織「お前、いつからっ…!?」
彼方「…去年の報告会の前日、伊織の様子がおかしかっただろ?
なんか隠してると思ったから、知り合いに頼んで小型盗聴器を裏口の階段に仕掛けた。
…確認したら伊織の話し声が聴こえたんだ」
伊織「っっっ!!!!
嘘だろ、!?じゃあなんで今までっ!」



