『この―――はテストに出すから覚えるように』

普段なら帰っているこの時間。いつもなら両親の愚痴を永遠に聞かされている。
ただ、今日は週2回の塾の日だ。だからまだ外にいる。


【家に帰らなくていいなら何日でも塾に行くのにな。】


そんなこと思うなんて当然になってしまった。
家なんかつまらない。

でも今日は明日のことで頭が一杯だった。
小学校からは久しく会っていない。
菜古と湯梅。

菜古はとても優しくて何て言うかお母さん的な存在だった。私の母親は乱暴で嫌みったらしいけど菜古は包み込んでくれるみたいな。ロングの髪をリボンのゴムで2つに結わえていて眼鏡をかけていた。私の憧れ。

湯梅は古風な感じがする子だった。名前が[ゆうめ]というのが珍しいからよくからかわれていたけど私は可愛い名前だと思った。性格は温和な方だけど、遊ぶときはそんな感じがしなかった。いつもロングの髪を下ろしていた。私の見本。

そんな2人に会えるから。
心が弾んだ。
今日は寝れるか心配だ。