「はい。最終下校時刻まで、図書室で勉強してます」
「じゃあ、これからは帰りに必ず軽音部室に来て。今日みたいに送って行くから」
「え、ええっ!」
大声をあげてしまった。
慌てて口を押さえる。
文徳先輩はまじめな顔を崩さない。
「瑪都流《バァトル》って名前、知ってる?」
「は、はい。ロックバンドで、暴走族でもあるって」
「おれが、その瑪都流のリーダー」
「……はい?」
足が止まってしまった。
文徳先輩も煥先輩も立ち止まる。
文徳先輩がわたしのほうを振り返った。
「おれ、伊呂波文徳が瑪都流の総長。煥が副。牛富と雄と亜美は幹部。この町で最大の勢力だ」