PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



煥先輩は、赤い特攻服を足の甲に引っ掛けて蹴り飛ばして、駐車場に放り込んだ。


赤い大型バイクに近付くと、手のひらから白光の正六角形を創り出して、バイクのタイヤをめがけて振り下ろした。



ジュッ!



ゴムの焦げる音、匂い。


白光がタイヤのゴムを焼いたみたいだ。



人間ふたりとバイク一台をあっさりと行動不能に追い込んだ煥先輩は、何事もなかったかのように平然と路地を進んでいく。



銀髪の悪魔。


尾張くんがそう呼んでいたことを思い出す。



煥先輩はためらいもせずに、人にも物にも暴力を振るった。


悪魔と呼ばれる意味がわかった気がした。