まばたきひとつぶんほどの短い時の中で、いくつかの出来事が起こった。
煥先輩の手のひらの前に、純白の光が現れる。
光は正六角形の板状に展開する。
煥先輩の身長と同じくらいの、大きな正六角形だ。
学ランがボウガンを構えていた。
矢が放たれた。
パシッ!
正六角形に矢がぶつかった。
白い閃光が弾けて、矢はジュッと焼け落ちる。
煥先輩が吐き捨てた。
「下手くそめ。かすりもしねぇ軌道じゃねぇか。『障壁《ガード》』出した意味ねぇな」
煥先輩は無造作に右腕を下ろし、走り出す。
学ランとの距離が一瞬で詰まる。
学ランがボウガンを投げ捨てたときにはもう遅い。



