文徳先輩が空を見上げた。 のど仏の形に、なんとなく目を惹かれる。 「ああ、ほんとだ。月が明るいんだな。確か明後日が満月だ。鈴蘭さんは月が好きなんだろ?」 「え?」 文徳先輩は、月からわたしへ視線を移して、わたしのカバンを指差した。 「三日月の飾りが付いてる」 「これ、流行ってるんです。いろんな天体のモチーフのシリーズなんですけど、わたし、これに一目惚れしちゃって。三日月も好きだし、青い石も付いてて」 パッと銀色がひらめいた。 煥先輩が勢いよく振り返ったんだ。 目を見張っている。