「何ですか?」 「兄貴のこと、好きなのか?」 「は、はぁっ?」 煥先輩は横顔だった。 ポケットに手を突っ込んでいる。 文徳先輩とそっくりな横顔なのに、髪が銀色でキラキラ透き通っているから、印象がまるで違う。 「あんた、兄貴ばっかり見てんだろ? 生徒会長としての兄貴は表の顔だ。音を出してるときの兄貴が本物だ。それと、バイク乗ってるとき」 何が言いたいんだろう? 「た、確かにわたし、文徳先輩に憧れてますけど、煥先輩には関係ないでしょう?」