部室の片付けを終えて、きちんとした制服姿に戻って、文徳先輩が部室の鍵を閉める。
「おれと煥で、鈴蘭さんを送って行くよ。先に、鍵を職員室に返してくる。鈴蘭さんと煥は、生徒玄関で待ってて」
そういうわけで、亜美先輩たち三人とは生徒玄関で別れた。
三人とも徒歩通学なんだって。
三人とご近所さんで幼なじみの文徳先輩と煥先輩も、同じく徒歩通学だ。
外灯の下で、文徳先輩を待つ。
煥先輩は口数が少なくて、部室からここまで一言もしゃべっていない。
わたしはぼんやりと空を見た。
満月に近い、明るい月がある。
闇と呼ぶには、空の色はまだ淡い。
「おい」
煥先輩が久しぶりに口を開いた。



