文徳先輩はスピーカーの電源を落として、広げていた楽譜をまとめてカバンに入れた。
ギターの弦は一本切れていて、文徳先輩は、それをどうしようかなって顔をして、結局そのまま黒いケースにしまい込む。
生徒会長じゃない姿だ。
見たことのない仕草、少し崩した服装。
ひょいと首や肩を回したりする、油断しきった動き。
口元の微笑みは、癖になっているのかな?
いつも唇の両端が持ち上がっているんだ。
本当に笑うときだけ、頬にえくぼができる。
サラサラな栗色の髪。地毛であの色なんだって。
肌も白いほうで、目は赤っぽい茶色で、ちょっとハーフっぽい雰囲気もあるんだけれど、切れ長な目元は東洋的な美しさだ。



