亜美先輩が、座り込んだわたしに手を差し出した。
キリッとした感じの美人だ。
女性劇団の男役トップスターって感じ。
「初めまして。鈴蘭ちゃんっていうの? 一年なんだ?」
「はい。進学科一年の、安豊寺鈴蘭です」
わたしは亜美先輩の手を取って、立たせてもらった。
亜美先輩、やっぱり背が高い。
雄先輩と同じくらいある。
わたしとは二十センチ以上違うと思う。
文徳先輩が宣言した。
「今日はそろそろお開きにするか。明日のライヴに備えて、今夜は勉強しとけよ」
了解、と牛富先輩と雄先輩が苦笑いした。
亜美先輩が肩をすくめる。
楽器の片付けが終わるまで、わたしは待っていた。
文徳先輩の姿を目で追ってしまう。



