文徳先輩が吐息交じりに言った。
「傷が、消えた……」
わたしは文徳先輩から手を離して、おそるおそる顔を上げた。
文徳先輩がニコッとした。
ぐるっと見渡すと、いかつい体格の男の人、優しそうな印象の男の人、背が高くて髪が短いキレイな女の人が、三人とも温かい目をしている。
みんな、わたしを怖がってはいない。
少し離れて立つ煥先輩は、わたしと視線が絡むと、金色の目をスッとそらした。
わたしは改めて文徳先輩を見つめた。
「このことは……お願いします。秘密に、しておいてください」
「わかってるよ。まずは、ありがとう。危うくギターが弾けなくなるところだった」



