煥先輩、話したんだ。
何をどんなふうに言ったんだろう?
わたしの知らないことも知っているの?
いや、あれこれ考えるより、治療が先だ。
わたしは文徳先輩のそばに座った。
タオルをどけて、文徳先輩の手に触れる。
男の人の手だ。わたしの手とは形が違う。
一瞬ためらってしまったのは、昨日の路地でのことを思い出したから。
気持ちの悪い手がわたしの素肌の上を這い回った。
信じられないくらい強い力で、わたしのカラダをつかんで。
違う。
あんなやつと文徳先輩の手を一緒にしちゃいけない。
大丈夫。
文徳先輩の手は、乱暴なんかしない。少しも怖くない。
青い光がわたしの手からあふれる。
息を吸いながら、痛みを吸い出す。
覚悟していても、やっぱり痛い。



