煥先輩はうなずいた。
白獣珠をブレザーの内側に戻す。
「夕方、部室に来い。逃げ出さなくていい。兄貴たちも預かり手の事情は知ってる。帰りも送ってやる」
煥先輩はきびすを返して、スタスタと歩き出した。
文徳先輩に「先に行く」と声をかける。
わたしは立ち尽くしていた。
文徳先輩が肩をすくめて、わたしに笑いかける。
「もしかして、あいつと知り合いだった?」
「いえ……あの、ちょっとだけ」
「あいつがおれの弟の煥。普通科の二年だよ。愛想がなくて、悪いな。おれのバンドのヴォーカルなんだけど、歌うとき以外はずっとあの調子なんだ」
「そ、そうなんですね」



