「わたし、瑪都流のファンなんです! 特に煥さんの歌の大ファンです! 平井さよ子といいますっ。
高一で、十五歳で、えっと……か、彼氏はいませんっ。一人もいないです、いたことないです!」
ヒュウ、と誰かが口笛を吹いた。
煥先輩が後ずさる。
でも、文徳先輩に腕をつかまれて、逃げられない。
何も知らない文徳先輩はニヤッとした。
「最近ずいぶんモテるな、煥」
「だ、黙れ、兄貴」
さよ子の勢いが止まらない。
キラキラの星とか花とか背負っている。
「駅前でのライヴ、ステキでした! 煥さんの声、一瞬で好きになりました。煥さんの姿にも、一瞬で惹かれました。もう、カッコよすぎます! 大好きです!」



