わたしは一生懸命、笑顔をつくった。
「鈴蘭でいいよ。さよこって響き、いいね」
「古風でしょ? パパの趣味なの。家では着物なんだよ、パパって」
さよ子がポケットからスマホを取り出した。
「あ、そのストラップ」
「似てるよね! たぶん同じシリーズだと思うの。鈴蘭は三日月で、わたしは満月! 鈴蘭、月のモチーフが好きなの? カバンに付けてるアミュレットも三日月ね」
クラスの子たちが集まってくる。
小夜子のキャラが話しやすいってわかったからかな。
でも、小夜子はわたしに関心があるみたい。
「さっきの着メロ、瑪都流でしょ! 鈴蘭も瑪都流のファンなの? というか、この学校、瑪都流ファン多い?」
「わりといるんじゃないかな」



