「どうした、安豊寺?」
先生に訊かれて、わたしはギシギシと首を左右に振った。
椅子に、へたり込む。
小夜子はわたしを見ていた。
キレイで無邪気そうな笑顔だ。
前の席の友達がわたしを振り返る。
「鈴蘭、平井さんと友達?」
「平井さん?」
「先生が紹介したばっかでしょ。平井さよ子さん。美少女だよねー。憧れる」
「…………」
わたしは口をパクパクさせる。言葉がうまく出てこない。
黒板には「平井さよ子」と書いてある。「玉宮小夜子」ではなくて。
それに、小夜子と違って、さよ子は髪が短い。肩に届かないショートボブ。
天使の輪っかができるくらい、ツヤツヤでサラサラの髪だ。
「平井さんは細いねー。うらやましい。鈴蘭の巨乳も超うらやましいけどね」
いらないってば、お肉。



