「同居する人が増えて、にぎやかになりますね」
「にぎやかというか……」
海牙さんの微妙な表情が晴れない。
口調も歯切れが悪くて、海牙さんらしくない。
「何か問題があるんですか?」
「問題、ではないけどね……とりあえず、明日です。たぶん明日、鈴蘭さんにもわかるはずなので」
そこで話が立ち消えになった。
文徳《ふみのり》先輩のMCが再開して、ストリートライヴが流れ始める。
海牙さんが離れて行った後、寧々ちゃんが不思議そうにわたしに訊いた。
「今の人、誰?」
「えっと、友達? みたいな」
「隣町の男子校でしょ? お嬢って、意外な人と仲いいんだね」
「うん、そうかも」



