鏡の前に立つ。


長い黒髪と、青みがかった瞳。


色白と誉められる肌には、傷ひとつない。



「あんなにボロボロになったのに」



ついさっきまで、命懸けの戦いの場面に立っていた。


でも、あれは二日後の夜の出来事だ。



二日後といっても、その日は決して訪れない。


運命の一枝の病は癒えたのだから。


ツルギは役割を終えたのだから。



わたしの首筋に鎖が掛かっている。


ペンダントトップは、金でも銀でもない金属の意匠に絡め取られたブルーの宝珠、青獣珠だ。



コンコン、とノックの音が聞こえた。


扉の向こうからメイドさんの声がする。


わたしは返事をして、制服に着替える。