三度目に「青い月」と歌ったとき、煥先輩を拘束する金色が消えた。
煥先輩が歌い終わったとき、小夜子がへたり込んだ。
小夜子が空っぽな目をして言った。
「わたしは、どこで間違えたの? どのくらい間違えたの? 最初からなの? 好きになってはいけなかったの?」
「そんなことない!」
小夜子が、ハッとわたしを見た。
叫んだのがわたしだと、それで気付いた。
わたしは小夜子に走り寄った。
つまずいて転んで、小夜子と同じように床に座り込む。
「煥先輩を好きになった気持ち、わかるよ。わたしも同じだから。一生懸命に想っても、伝わらない。それも同じだから、わたしにもわかる」



