半歩、小夜子が煥先輩に迫った。 小夜子の手が煥先輩の胸に触れて、肩に触れる。 それは一瞬の出来事で、止める間もなかった。 小夜子が煥先輩の唇を奪った。 煥先輩が目を見開く。 イヤだ……! 驚きが、煥先輩を隙だらけにした。 小夜子の指先から金色の靄があふれ出す。 靄が煥先輩の両手首と両足首に絡み付く。 小夜子が唇を離した。 煥先輩はまだ、愕然と目を見張っている。 「な、何を……」 「煥さんの体を傷付けずに、自由を封じたくて。手を出さないでくださいね。煥さんにケガをさせたくないんです」