小夜子は、刃を突き付けられているのに、甘やかに微笑んでいる。
「不死《エターニティ》がわたしのチカラ。月聖珠が存在する限り、わたしは死ねません」
煥先輩が小夜子の言葉尻をとらえた。
「死ねない? 死なない、じゃねぇんだな。肉体化した意味は、そういうことか。メールに書いてた『生きて死にたい』って言葉は、あんたの本心なんだな」
「わたし、嘘はつきません。煥さんが受け入れてくれるなら、それだけでいい。永遠なんていりません。
肉体を持つことで老いや死を体験することになっても、禁忌を犯した罪を背負うことになっても、
わたしは煥さんへの恋だけがあれば、ほかに何もいらないんです」



