「確認しときたい。あんたは、月という宝珠の預かり手で、自分が預かる宝珠に願いを掛けた。それが禁忌だとわかっててやったのか?」
小夜子は笑顔でうなずいた。
「はい、そのとおりです。わたしは月聖珠の預かり手で、『不死《エターニティ》』のチカラの持ち主です。禁忌のことは、もちろんわかっています」
煥先輩のツルギに純白の光が集う。
白獣珠が短剣の姿になる。
煥先輩は足を止めて、小夜子にツルギを示してみせた。
「禁忌の違反者がどうなるかも、わかってるのか?」
煥先輩と小夜子の間には、まだ距離がある。
小夜子が足を踏み出した。
一歩一歩、ゆっくりと距離を詰めていく。



