屋上に続く階段を、小夜子は上がっていった。
わたしたちも続く。
踊り場に立ったとき、上のほうから、キィ、と分厚いドアがきしむ音が聞こえた。
階段を上り切ると、ドアは開けっ放しで、晴れた夜空が見えた。
わたしたちは屋上に出た。満月が明るい。
小夜子がそこにいた。
長い黒髪。真っ白な肌。青白く透けるようなワンピース。
月を見上げていた小夜子が、こちらを向いた。
「月がキレイですね、煥さん」
煥先輩はブレザーの内ポケットに手を入れて、ツルギの柄をつかんで出した。
小夜子に近付いていく。
かすかな夜風に銀髪がそよぐ。



